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2006年2月

十数年ぶりにアコヤ貝の貝柱をいただきました。
真珠養殖をしている故郷の知人から送られてきたのです。毎年この時期に、「浜揚げ」といって、養殖業者は、アコヤ貝から真珠を採集するのですが、その時、貝柱は捨てずに集められ、食用とされるのです。
味は甘みが強く、香ばしくおいしいのですが、そんなにたくさん採れるものではないので、その現場にいる人たちだけが知る味です。私や母にとっては、何よりも「懐かしい味」で、昭和40年頃の真珠養殖を家業としていた子供の頃を思い出さずにはおれません。

真珠養殖業者にとっては、年間を通じてこの浜揚げによって採集される真珠だけが、唯一の収入源ですので、浜揚げには収穫の喜びとともに緊張感が張り詰めます。何しろ、貝をあけて中の真珠を取り出してみるまでは、どれくらいの品質のものが出てくるかわからないのですから。

寒い時期ですから、ドラム缶にがんがん火を燃やして、そこに集まってくる大人たちの会話に、子供ながら必死に聞き耳を立てていたのをおぼえています。
「今年の川辺真珠は成績がいいなあ。」というような声が聞こえたら、ホッとして胸をなでおろします。そして、そんな小さな心の動きをまわりに気づかれないように、火に立てかけておいた貝柱の串焼きをほおばりながら、大人たちの会話の後を追いかけるのです。子供なりに家業への思いは深いものがありました。

私は今でも真珠を見るときには、無意識に、真珠養殖をしていた故郷ですごした子供の頃の、潮の香りや波の音、早朝の透き通った海の輝きや、海の上を吹く風の懐かしさなどを同時に感じているのだと思います。
そんなことが今の仕事の原点になっていますし、これからも大切にしていきたいと思います。
お店の真珠のコーナーに真珠養殖のいかだで遊んだ頃の懐かしい小さな写真をおいてみました。
よろしかったらご来店の際、ごらん下さい。

風に吹かれて1 

(KAWABE JEWELRY通信Vol.49 2006/2発行に掲載分)

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